ソバ

世界で広く食用として利用される

ソバ(Fagopyrum spp.)は、タデ科ソバ属の1年生の草本作物で、世界で広く利用されている伝統食品です。その原産地については、現在では野生祖先種の発見により中国南部であるとの説が有力になっています。日本では、各地の縄文時代晩期や弥生時代の遺跡からソバの花粉が見つかっており、その頃から利用されていたと考えられます。
日本では、はじめは、蕎麦がきや蕎麦もちのような塊状で食されていたと考えられます。現代の蕎麦が発明されたのは江戸時代とされ、1643年に出された日本最初の料理本「料理物語」にそば切りの作り方が記載されています。世界的に見ると、ソバの生産量、消費量は、ロシア、中国、ウクライナが多いようです。

栄養価の高い食品ソバ

ソバの栄養学的な特徴として、たんぱく質が豊富で、その特徴としてあげられるのが、他の穀類では含有量が少ないアミノ酸リジンの含有量が多いことです。そのため、ソバたんぱく質のアミノ酸スコア(たんぱく質の栄養価を示す指標)は他の穀類より高く、100近くになります。食物繊維も豊富で、ビタミンB1、B2等のビタミン類、カリウム等のミネラル類の含有量が高いことが知られています。

ソバの機能性成分

ソバには、フラボノイドの1種であるルチンが豊富に含まれています。ルチンは、抗酸化作用を有しており、毛細血管の抵抗性を増強し高血圧による脳出血を予防する作用等に加えて、近年はアルツハイマー病治療への利用が期待され、研究が進められています。近年、普通種(Fagopyrum esculentum)よりルチンの含有量が高いダッタンソバ(Fagopyrum tataricum)の栽培も盛んになっています。また、ソバたんぱく質には血中コレステロール低下作用が報告されています。

ソバの機能性について

血中コレステロール低下作用、神経保護作用、抗腫瘍作用、抗炎症作用、血糖低下作用、血圧低下作用、血流改善作用、免疫賦活作用、抗酸化作用等が報告されています。

参考文献

  1. 池田清和, 伝統食としての蕎麦の良さを探る, J Jpn Soc Nutr Food Sci 2002, 55, 295-297.
  2. Gimenez-Bastida JA, Zielinski H, Buckwheat as a Functional Food and Its Effects on Health, J Agric Food Chem 2015;63(36):7896-913.